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「いやあ、意外とカンタンなんですねえ~! 僕、もっとコツとかあるのかと思ってましたっ、思いっきり振ったらあっさりスパーンといくもんなんですね!」  こちらに黒いもやを吸い込んだボトルを見せつけながら新人くんがはしゃぐ。わばばばばばばばば! の記憶はすでにないらしい。  まったく都合のよい頭だ。お前ひとりならばいまもずっとわばばばばばばばば! といっていただろうに。  思うが、そんな揚げ足を取るようなことはいわない。 「思いっきり振るのはてっとり早いがあれにも一応、急所はある。それさえ突ければかならずしも豪快に振る必要はねーよ」 「ええー!? そんなの初めて聞きました!」 「教本の欄外コラムに載ってる」 「ぜんぜん知りませんでしたっ! というかそれ重要なんじゃ?」 「いや、そうでもない。普段はあいつら逃げまわるだろ? ある程度の距離があるなら、わざわざピンポイントで急所を狙うまでもなく、おもっくそ斬ったほうがやっぱ早い」 「なるほど~」  私は左肩にかける基本姿勢。新人くんは抱きかかえるように鎌を持っている。  ならんで歩いてはいるがとくに目的はない。集落の奥へと踏み入っているだけである。変わらず『標的』の気配はなく、長丁場になる予感に内心でため息をもらす。
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