飛びたかったのだ、落ちたいのではない。

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だから少女はまた帰宅した。部屋の中を探し、翼になりそうなものを探す。目ぼしいものがない。どうしたものか。どうして飛べないのか。新聞紙を集めて、幾つか翼を作った。合わせてセロハンテープで重ねる。背にセロハンテープで貼り付けた。母はいなかったが、少女はベランダに向けて駆けて、柵を飛び越える。まだ、駄目か。翼を増やしたが、どうにも翼がもげたのだ。ガムテープに戻そう。飛ぶには軽量化しなければならいが、頑丈じゃないと翼は取れるらしい。 少女は帰宅した。少女は部屋を探すが、なにもないので悩む。何回か頭を使い、思い付く。教科書を鋏で鋏んで刻み、翼を作る。何枚も出来た。ガムテープで張り合わせ、大きな大きな翼を作った。身体の半分はある翼だ。背中にガムテープで貼る。少女は走る。外に向かって飛び出した。翼はもげなかったし、ちょっと飛べた。向こう側のマンションの壁に顔を叩き付けて少女は落ちた。翼は折れたようだった。
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