第3章

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眠れる森の女王・モモヨは、 また悪夢にうなされていた。 月に二度は、必ず見る夢。 沖縄のあの日の事だ。 私が鉄の棒を握り締めている。 それには、 黒い粘液がこびりついている。 次にクローゼットのフリルの ワンピースがみえる。 私の衣装だ。 そして、その映像の後、 視界が暗くなり黒が覆い尽くす。 アイドルの時間は、 あっと言う間に過ぎ、 期間は短い。 しかも、 それは遠い過去のことだ。 なのに大きく陰鬱なトラウマなのだ。 あの日の暴漢のことだ。 あの日、 青年が死んだ。 だが、 不思議だ・・・・ それは、上の階で起きた事件で 私は、その話を聞いて、ショックで、 幻想を見たのだと、マネージャーは言う 私は、関係ないと、山瀬はバカにした。 臆病な奴だ! そうなのだろうか? 私を襲ってきた記憶があるのに・・・・ あのリアリテイは、現実だと思うのだ。 夢の中でも、その手応えと音が、 何度も繰り返された。 だが、私は、その後の記憶がない。 なぜ私は、 次の瞬間、 目覚めた時、 ベッドに眠っていたのだろう。 マネージャーが起こすまで、 昨夜から寝ていたと言う。 そう言われると、そうかもとも思う。 リロイズの悲劇を聞いて、自分の記憶と して、妄想したのかも? もうひとつ、疑問がある。 マネージャーは、ホテルに来た警察に 私の存在を隠し通した。 なぜ警察から隔離されたのだろう。 これも、悪夢の原因だ。 私がした事でなければ、 隠す必要がない。 あの時、はっきりさせるべきだった。 過去は悪夢として、30年間私を苦しめる
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