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世の中には勝ち組と負け組があるんだ。
「はいはいはーい!ゆーしん君今日はいくら持ってるのぉ?」
僕は、勿論後者の方。
「き、今日は2千円しか……」
強者は大股を開き
「な・ん・だって?え?聞こえたかー皆ぁ?!」
弱者は泥水を啜るしかないんだ。
「……っでも」
カッターシャツをきゅっと握る。
「あ?俺等に楯突こうっての?ゆーしん君はこの前みたいになりたいんだねぇ」
指の関節を鳴らし僕を脅す目の前の彼等は、僕を逃がそうとはしない。
「そ、それはっ」
慌てて伸ばした手は寂しく空を舞うだけだった。
「はいはい、じゃあお財布渡しましょうね」
彼等は高校三年生にしては華奢な体型の僕を、いとも簡単に突き飛ばし、あっさりと僕から財布を奪い取ってしまった。
「あー!!こいつ、5千円も持ってやがった!」
「悪いゆーしん君にはお仕置きが必要かなぁ」
「今日はどんなお仕置きしてあげる?ヤるか?」
下品な笑い声が辺りに響く。
汚い言葉、馬鹿笑いする声。もう慣れた。耳でろ過することの出来なかったそれらは、僕の身体をすり抜けていった。
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