Ⅰー6【帰宅】帰るべき場所へ

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夢中になって考え込んでいて、人にぶつかり車道に飛び出てしまったのだと、 まだ凍り付いている脳細胞でノロノロと理解した。 「あーちゃん大丈夫!? ケガはしてない!?」 ケガ? 滑り込むように両膝を付いて私の顔を覗き込んできた、ハルカの必死の表情に、いかに自分が危ない状況だったか思い知らされて、今更ながら体に震えが走った。 一歩間違えていたら、大変な事になっていた。 もしも、伊藤君が助けてくれなかったら、今頃は、あの車の下敷きになっていたかもしれない――。 「だい……じょ……ぶ」 声が震えて、上手く出てこない。 ケガはしていない。 だって、伊藤君がクッション変わりになってくれたから。 ケガなんてしてない。 「ごめ……っ」 私は、バカだ。 やってることが、本末転倒。 ボケるにも程がある。 肝心の伊藤くんに、こんな迷惑をかけてどうするんだ。
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