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夢中になって考え込んでいて、人にぶつかり車道に飛び出てしまったのだと、
まだ凍り付いている脳細胞でノロノロと理解した。
「あーちゃん大丈夫!? ケガはしてない!?」
ケガ?
滑り込むように両膝を付いて私の顔を覗き込んできた、ハルカの必死の表情に、いかに自分が危ない状況だったか思い知らされて、今更ながら体に震えが走った。
一歩間違えていたら、大変な事になっていた。
もしも、伊藤君が助けてくれなかったら、今頃は、あの車の下敷きになっていたかもしれない――。
「だい……じょ……ぶ」
声が震えて、上手く出てこない。
ケガはしていない。
だって、伊藤君がクッション変わりになってくれたから。
ケガなんてしてない。
「ごめ……っ」
私は、バカだ。
やってることが、本末転倒。
ボケるにも程がある。
肝心の伊藤くんに、こんな迷惑をかけてどうするんだ。
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