本編

6/17
前へ
/29ページ
次へ
だけど彼女は僕の予想通りに黙り込むから、僕はマズかったと後悔した。 「すんません…。やっぱり良いッス。失礼しますね。気にしないで下さい!」 僕はキャップ帽を被り直して一礼をし、チョコ寮の玄関ホールを出て行こうとした。だがその時、彼女が「あまり気になさらないで」と小さく言ったのが聞こえた。 僕は、思わず振り向いた。だけど彼女は小包を持って、もう寮へと入って行ってしまっていた。 これは五月の事だった。 こうやって、僕がチョコ寮のその男の子宛の宅配物を届けに行くのは、四月から毎日だ。 だけど三ヶ月位経った頃だった。 男の子宛に届く宅配物の頻度が日に日に減って行ったのは。
/29ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加