level 4

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私は櫻井さんの真横に座っていた。 男は香水の香りよりも、シャンプーや、石鹸の香りのする女性に弱い。 ──はず。 朝から二度シャワーを浴び、お気に入りのシャンプーと、ボディーソープをふんだんに使ってみた。 これで櫻井さんをイチコロに──。 「…ほんと、意外。誘ってんの?」 「!?」 ばっ!と私は身を引いた。けれど、手首を捕まれ、彼の胸へと引き寄せられる。 「いや!違う!ちがくて!」 「…ふーん、いい匂い。シャンプー、かな?」 「……。」 私は真っ赤になり、俯いた。 ええと、これは成功したといってもいいのだろうか。 でも、これは予想外の展開だ。 これでは、翻弄させるどころか、こちらが翻弄されてしまっている。 「肉じゃがに、泣ける映画に、シャンプーの匂い、ね。努力は認めるよ。」 「う…。」 全部バレている。 「昨日のことは謝るよ。ただ──、誤解してる。」 「誤解?何をですか?」 「すごい剣幕だったから言えなかったけど…俺、田村さんのこと好きじゃないなんて言ってないけど?」 好きじゃないなんて言っていない? 「え?それって…」 「好きでもない子に手出すほど暇じゃないんで。」 「ごめんね。怒らせて。」
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