第1章

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話しかけて来たのはこの村の村長さんとの事。 「それで唯一、見つかった少年の面会は出来ますか?」 「意識は確実戻ってないのですが、それでもよければ、お会い出来ますよ」 そう言われ、村唯一の小さな診療所へ案内された。 「この子が半月行方意不明だった、野田 裕太くん、10歳です」 彼は少し栄養失調ではあったが、生命には異常は無いとの事。 「裕太くん、初めまして…朱威千棘です」 「は、じめまして」 辺りを見回しながらもぎこちない挨拶を交わす。 「裕太くんは何を見たの?覚えている事教えて」 「…毎日、皆も僕も真っ暗な場所にいた」 真っ暗…。 「床は土?板?コンクリート?」 「…板…かな?少し土混じりのみんな1箇所に集められてみんな目隠し、でもわかる事もあったよ。日に日に1人ずつ減っていて…奥から悲鳴が聞こえていた。怖かっ…」 そこで彼は黙り込んでしまった。 千棘くんは何かメモをしながら優しく頭をなでてあげる。
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