52人が本棚に入れています
本棚に追加
/63ページ
話しかけて来たのはこの村の村長さんとの事。
「それで唯一、見つかった少年の面会は出来ますか?」
「意識は確実戻ってないのですが、それでもよければ、お会い出来ますよ」
そう言われ、村唯一の小さな診療所へ案内された。
「この子が半月行方意不明だった、野田 裕太くん、10歳です」
彼は少し栄養失調ではあったが、生命には異常は無いとの事。
「裕太くん、初めまして…朱威千棘です」
「は、じめまして」
辺りを見回しながらもぎこちない挨拶を交わす。
「裕太くんは何を見たの?覚えている事教えて」
「…毎日、皆も僕も真っ暗な場所にいた」
真っ暗…。
「床は土?板?コンクリート?」
「…板…かな?少し土混じりのみんな1箇所に集められてみんな目隠し、でもわかる事もあったよ。日に日に1人ずつ減っていて…奥から悲鳴が聞こえていた。怖かっ…」
そこで彼は黙り込んでしまった。
千棘くんは何かメモをしながら優しく頭をなでてあげる。
最初のコメントを投稿しよう!