第1章―各々の非日(ひび)―Day to day

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俺が悲しい視線を送っても、そ知らぬ顔で家のマスコット兼お気に入りの機械人形AE―7(エイナ)で遊び始めた。外見は大きな眼に癖毛なのか肩まで伸ばした髪は毛先が跳ねて、赤い色素を含んで元気いっぱいを表している。さっきの会話のよう性格は飾らずゴーイングマイウェイなこの人は伊達(いたち)マキさん。この家の主であり俺の働く店「選取見取」の店長でもある。時々見せる妖艶な大人の顔は男としてビビッときてしまう。なにより外見と性格が相俟って、様々な方面に人気があり顔が広く、皆そろってマキさんの武勇伝を見ているので凄みを知っている。俺も随分前に「昔の私は、もっと凄かったのよ~」と、如何にも聞いてほしい空気を出していたので昔話を聞いたが、あまりにもブッ飛んだリアリティのある話だったので、それ以降スッパリと聞かないことにした。 そんなマキさんの禁止ワードはお正月料理に出てくる黄色い巻き物のアレ。 理由は水っぽいカステラみたいだから好まないらしい。 そして、この家は田舎という土地に恵まれ、広い屋敷になっている。その一角に「選取見取」というマキさん個人的な趣味で集めたのであろう古今東西の武器や防具、祭具、アクセサリーなどを販売する観光ショップとして経営している。もちろん売っている物はレプリカなのだが、やはり物が物なだけに警察の方が時々いらっしゃる。まぁ、明らかに怪しいお面とかを平気で「ナイスセンス!」と言い店頭に飾っちゃう人だからな…うん。 残りは1番離れにマキさんの部屋、リビング、客用の空き部屋と住み込みのマイルームとなる。 こうして外は日が照りだし始めた朝方、いつのまにかエイナの尻に敷かれていたマキさんが思い出したかのように苦々しく口を開いた。 「そろそろ世間も異変には気づき始めるとは思っていたけど、こうもメディアを通されるとはね~」 う~ん…と伸びをしてエイナを退かして頬杖をして考え始めた。エイナは気を利かせ癒し系音楽を流しはじめる。 「最初の頃は気温が下がってもすぐ戻っていましたからね」 「そう、最初は気にするまでもなかったの。けれど、最近はコツを掴んだのか日に日に下げ始めているのよ。」 ――やばい。マキさん仕事モードに移行中だよ…目つきが鋭くなってる! 「ですが、それは昨日までで今日からは何も無くいつも通りの真夏の熱帯夜になるのでは…」 「ない!」
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