第1章―各々の非日(ひび)―Day to day

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ありませんか? と言う前に一蹴。ううっ…正面見て話せません。 「大体キミは昔から甘すぎる! いつもギリギリのギリまで待って仕事を片付けるけれど、相手が相手だったら、いつ死んでもおかしくないのよ? わかってるの!?」 「はい、すいません。確かに仕事のことは反省しています」 危うく棒読みになりそうになった台詞を感情を込めて言う。下手に反論したら、それこそまさに今、死んでしまう。 「なら良し! 話を戻すわよ」 やっぱ人間イライラしちゃうね。暑くなると… 「さて、今回は化獣と偽者、いずや君はどっちだと思う?」 「偽者のほうが濃いと思います。化獣だったらこんな不安定な変化にならないでしょう」 ほう、と相槌を1つ打って、マキさんは「続けて」と目線を送ってきた。 「最初の頃のような不安定を、たくさん出しているという事は偽者特有の意識調整を行っていることが分かります」 「それで、最近はコツを覚えてきたのか着々と夜を冷やしている。と?」 「そうです。ホシはまだ偽者になりたてのヒヨッコです!」 今までの経験を活かして、さながら刑事口調でまとめてみたが… 「イイ線いっているのだけれども、やっぱり甘いわね。前に私が言ったこと覚えてる?」 「この世は1/100って言葉ですか?」 「そう。時間、年月、回数など単位は変化しようと100の内、1は常識では計りきれないことが起こるのよ。あり得ることとあり得ないこと、日常と非日常の割合ね」 と言いエイナに触ったマキさんは、エイナから1枚の写真をプリントアウトし渡してきた。 「――すごい光景ですね」 写真には眼鏡を掛けている昔のマキさんがいた。そしてもう1人は所々衣服が裂けていて体中が傷だらけの血まみれだが眼が爛爛としている外国人。 マキさんがマウントに取り会心の拳をぶつけているシーンが写っていた。 「この人よく生きていますね。結構な量の血を流していませんか?」 「死んでるわよ」 「えっ…?」 「でも、すぐに生き返るの。お陰で黙らせるのにすごく苦労したのよ」 「この写真はエイナの眼から撮ったものですよね? エイナとマキさん二人がかりでも…」 「あと、写ってないけど紫玖留(しくる)も一緒よ。あの時は疲れちゃったね~? エイナ~」 エイナも同意するかのように左右に揺れている。
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