第1章

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僕が人生に絶望し、諦めた日から15年、それは更に顕著に現れた。 弟は15年前に引き起こした災害の元凶である、常人どころか英雄すら超えるとされる魔力を無事に使いこなすようになった。 それと対称的に僕は家での居場所はどんどん無くなっていた。それは家だけでなく学校や地域の居場所すら奪っていった。 それと比例するように僕は根暗にそして孤独に慣れるようになっていった。 そして今日は“弟”の15回目の誕生会だ。 弟は沢山の人に囲まれ、恥ずかしそうにしながらも楽しそうに話している。囲んでいる人の中には妹と幼なじみもいる。 離れた所には両親が貴族らしき人と話をしている。おおよそ弟の自慢話でもしているのかもしれない。 それに比べ僕は同じ空間にいることすら許されていない。いや、行くことはできる。だが、歓迎はされないだろう。そもそも行ったところで存在に気付かれもしないかもしれない。 僕の唯一の安らぎの場は自室か強者の周りだ。強者とは自分で自分を守ることができるため、誰にでも優しく接してくれる。 そのため、こんな僕でも周りと同じように接してくれる。だからといって僕は1人の強者に依存しない。 依存した瞬間に周りに潰されてしまうからだ。強者とは、ほどよく接することが大事だと僕は弟から学んだ。
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