すべてのはじまり

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「で、何買ってくれば良いの?」 頭をポリポリ掻きながら、眠たそうな声で聞く。 「えーっとね、2Lのお茶と小さいロールケーキお願い♪」 イスから立ち上がった母さんは俺と向き合うようにして、おねだりのポーズをとる。 もう何度も見たが、飽きないんだなこれが。 自分で言うのも何だが、俺の母さんはかなりの美人さんだ。 家に居るときはいつもスッピンだが、化粧をしているそこら辺の女性とは比べ物にならないだろう。 中学校の授業参観でも、他の友達に俺の母さんの美しさを見せつけていた事もあったなー。 あれは本当に快感だった。 母さんを見てしまった者は、子供だろうが大人だろうが目を背ける事は出来なかった。 そう、まるで魔法の様に、くぎずけになっていた。 そんな母さんが、今おねだりのポーズをしているのだけれども、黒と白のボーダーのだぼだぼのTシャツから前屈みになった母さんの、なんとも言えない膨らみがチラチラと見えてしまう。 別に興奮はしないが、ずっと見てもいられないので、母さんに渡された財布を片手に急いで玄関に向かう。 「気をつけてねぇー。」 後ろから手を振る母さんを確認して、重い鉄のドアをギィィと鳴らしながら開ける。 「行ってきまーす。」 何の手振りも付けずに、そう言い家を後にする。
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