scene.4

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さて、各々の注文した料理が粗方片付いた頃、優也が口を開いた。 「そう言えば、俺、さっき利一君と小鳩妹に仕事手伝ってって頼んだけど、別に無理とか嫌なら断ってくれて大丈夫だからな」 「……え?何で?」 「嫌なこと無理矢理させるくらい俺、お前らのこと知らないし、別にお前らも俺の事を知りたくなんてないだろうしな。 何より失敗した時責任を負わせる程お前らと繋がりがある訳じゃないし。繋がりと呼べるもんなんて、同じクラスにいる事と、似たような事やってるってだけだからな」 優也の言葉に利一君が返すと、再び優也が言葉を投げた。 「……じゃあ、色々聞かせてくださいよ」 「あ?なんでも聞いてくれ、答えるからってさっき言ったはずだぞ?つっても、青井と利一君と小鳩妹にだけだったが。池田も聞きたいことがあれば聞いてくれ。こっちが迷惑掛けてんだ、今日ははぐらかしたり誤魔化したりはしないからな」 何故か優也を睨むような目付きで由奈が言うと、優也は何を言ってんだ?と言わんばかりの面倒くさそうな態度でそんな言葉を投げる。 「じゃあ、いいかしら?」 「だから、いいって言ってるよね?」 そんな優也に対し、声を上げたのは明日香だった。 優也が答えたのを聞いてから質問をぶつけることとなる。 「空手どれくらいやってるの?後、何かやってる武道や格闘技はある?」 「あぁ、知りたがってたもんな。空手はもう10年以上やってる2段だ。実戦流派のな。あとやってる格闘技は日本拳法2段に柔道は講道館初段。2段を取るには中々に面倒くさくてな。そのうち取るつもりだ。柔道に関してはこないだ利一君に極めたのは三角絞めってやつで、本来は高専柔道つって、柔道の亜流の技だ。講道館でも認められてる技だけどな。その高専柔道の稽古をしてる」 「……わかったわ。ありがとう」 「俺も池田に聞きたいっつーか、言いたい事があるんだが、いいか?」 「えぇ。答えられる範囲なら答えるわ。利一くんみたいな話はイヤだけど」 「あん時は悪かった。本当に名前知らなくてな。なら、1つだけ。空手を使うのは本当はダメなんだろうがそこは置いといて、男相手に正面からの上段回し蹴りは止めとけ。特にスカートの時はな」 「……気をつけるわ」 優也と明日香がそんなやり取りをしている時、由奈は気になったのだろう、利一君に声を掛けた。 「あの時って何があったんですか?」 「いや、いつもみたいに俺が明日香を胸の事でからかって殴られて悶えてる時に声を掛けてくれたんだが……色々あって明日香が御手洗に殴りかかったって事があったんだ……」 「本当に懲りないですね……」 利一君は由奈に呆れられるのだった。
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