第1章

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 このイベントの責任者である以上、来てくれた知り合いにはもちろん知り合いの知り合いにだってしっかりと挨拶をしておかないと。  それが誠意であり、これからのチャンスを広げていくことになるからね。  おっと、今日は望外のお客も来てくれているようだ。 「やあ麻由さんじゃないか、珍しいね。こんな健全なイベントに来てくれるだなんて」 「そうね、健全で初心者向けでまるでおあつらえたかのように新入生たちの出会いの場になってるわね」  彼女の名前は羽田麻油。 ここらでは有名だ。  W大学に通っていて家が金持ちで本人もなかなかの美人。   顔も広く、セレブ層や芸能人達とも交友関係を持っているそうだ。  ある一定の距離を置いて僕とは友人でもある。  本来なら真っ先に人脈を築きたい人間ではあるが、とある事情と理由により必要以上には親しくならないようにしている。  健全に生きている僕としては彼女や彼女の周りの人間達とは色々な意味で価値観が合わないのだ。 まあ、ここでは僕とは『ノリ』が違うと表現しておこうかな?  だからこそ今回のような新入生が対象の『周辺の大学に通う学生達の親睦を図る』という健全なイベントに彼女が居るなんて思いもしなかった。 「おや~?やはりお気に召してはいないようだね。それなのに何故ここにいるんですか?」 「友和……私のところのバカが後輩を連れてきたいっていうからこんな退屈なイベントにつき合わされたのよ」 「友和……ああ、あの少し面長の……」  思い出した。 最近彼女とよく一緒に居るという男だ。  「まったく……また喧嘩したのかい? 君達は」  先ほども言ったが羽田麻由という女性はここらではちょっとした有名人だ。  そして当然のことながら真田友和という彼女の友人もここ最近ではよく僕たちの話にのぼっていた。 それは彼が羽田麻由の友人と思われるからだ。  実は羽田麻油という女性は取り巻きを作らない。   彼女のようないわゆる上流階級に属するような人々とも親しい人間には当然のことながら取り巻きがつくものだ。
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