omniscientia

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ある時ぷつりと 生が途切れる時がくる その瞬間の為にそれまでがあった 遺伝子の記録が残っていたとしても テロメアの距離が続いていたとしても 血脈も歴史も絆も 途切れる 可能性も選択肢も一秒後は 無になった 僕らは 宇宙創世から消滅までのただただ刹那 造形していた糸だ 過去は膨れ上がった死骸で その淵に立っていた その場所で 塩基配列でも赤い糸でもない針の様な ぷつりと切れた端々があって 焼き切ってしまいそうな熱で結んだ 忘れたまま探していた 僕らはまだ 永遠を謳える気がしている 無限に時間が死に続けるなかで 途切れるまで 失うまで続けた
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