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 オレの名前は雪永聖寿(ゆきながまさとし)。サンタクロースだ。  オレの一家は先祖代々サンタの家系であり、去年、うちの親父が病気で引退したため、今年からこの地域はオレが担当することになった。  そして現在、絶賛サンタクロース中のオレがいる。  最初は面倒だと思っていたが、プレゼントを置きに入った部屋で眠る子供の寝顔とそのかたわらにあるメモの下手くそな字に頬がゆるんでしょうがない。  変質者そのものの顔をしているであろうオレはさっさとプレゼントを靴下にねじ込み、首にさげている、角が生えた懐中時計のようなかたちの機械『トナカイくん(瞬間移動はおまかせ)』を使い家をあとにする。  とりあえず人目につかない路地に出ては、サンタ長に渡されたリストをめくる。  いま、プレゼントを渡した家の子の名前が書かれた横に印をつけ、つぎの家である高橋翔馬(たかはしぺがさす)くん宅の住所を見て、その場所をトナカイくんにつぶやく。  トナカイくんの懐中時計で言う文字盤部分にその住所が映し出される。  一軒家だった。しかも明かりがついている。  ペガサスくん起きているのか? 面倒だな……。  気は進まないながらもオレはその家の前に飛んだ。
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