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 僕の名前は夜久野聖臣(やくのまさおみ)。サンタクロースである。  より正確に記すならばサンタクロースのなかでも飛び抜けて高い権限と能力を持つサンタ長と呼ばれる一群に属している。  サンタ長とはサンタクロースの上位であり、最高峰のサンタクロースだ。その権限は神と同等とまで謳われている。  しかしその実、サンタ長のほとんどは現役を退き、一般的なサンタクロース(平サンタとでも命名しよう)に適当に指示を出すばかりで、自らはそれだけが役目だと言わんばかりに椅子の背もたれとその地位にふんぞり返っているのだ。  しかし、僕はちがう。  サンタ長と呼ばれるようになろうが、僕は街を駆けてプレゼントを配ろう。  白い息を舞い落ちる雪に溶かしながら空に赤い軌跡を描いていたいのだ。  ほかのサンタ長たちにもその楽しさを、素晴らしさをもう一度思い出してもらいたい。  そんな思いからの現役続行である、というか第一にサンタになって、まだ四回しかクリスマスを迎えていないのに引退は早すぎるだろう。  そう、僕は驚異のスピード出世を果たした、史上最年少のサンタ長だったのだ。
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