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02
徐々に客足が増えるが、どれも店内へ向かうばかりだ。なかの様子に耳を澄ますと予約していたものを取りに来た人間が大半だということがわかった。
座っていた椅子から立ちあがると僕は動く。
サラリーマン風の男性のもとへ駆け寄り。
「シャチョサーン、オイシケーキサンゼエンポッキリヨー、ヒトツイカガデスカー!?」
「あ、いや、あの……」
サラリーマンあまりにも予想外だったのか、しどろもどろ。
「ドウシタノシャチョサン、グアイ、ワルイノー?」
「あ、具合は悪くないよ……」
冷静さを取り戻したのか、困ったように眉尻を下げる、僕の倍くらいの年齢の男性。
「ドウ? ケーキ、オイシヨー」
僕の追撃に、「うち、頼んだのがあるから、ごめんね」と返された。
シャチョサン作戦失敗。
「ソウネー……ナラシカタナイ、シカタナイ。……ライネンハ、コノミセ、チュモン、オーケー?」
「……オーケー」
その返事に僕は目一杯笑う。
「オー! アリガトネー! キョハ、ナンカゴメンネー、アリガトゴゼマシター!!」
一礼をし、サラリーマンから離れ定位置に帰った。
苦笑しつつ手を振られる。無視する。
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