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「あんたが呼び出したんだろうが!」  その指摘に悪びれもせず、青年は頬をゆるめた。  直後、テーブルのうえで金属音がはじける。  マサトシは反射的にそちらへ目を向けて、机上で回転し、立ちながらゆらゆら動く硬貨たちを目にする。  音の発生源をみとめて、硬貨から視線を空になったグラスへ経由しもとの位置へ戻す。その間、ほんの二、三秒。  すでにマサオミサンタ長の姿はない。  視界がひらけたオープンカフェの内側にも外側にも見当たらない。 「……なるほど、これは代金ってわけか」  回転する硬貨を指でテーブルに押さえつけていく。  残っていたコーラをあおってから、会計のかかれた紙を持ちあげ、端の落書きに目を奪われながら金額を確認する。 『ここのコーヒーはあまりおいしくないね。勉強がんば。夏休みの僕たちはこれからだっ!』 「勘定書きに書くなよこんなこと」自分が書いたと思われるのはしゃくだ。「勉強は言われなくてもがんばってる。何より最後の一文が意味わかんねー……」苦笑。「あ、つか、これ百円たんねーんだけど」けど、それぐらいなら払ってやっていい、と思う。  即席イリュージョンショーの観劇料として、嘆息まじりに百円玉を取り出すのだ。
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