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 くり返すが、ここはテラス席である。街中にあっても目立つであろう、ふたりのサンタクロースが、こうして向かい合っているさまは否が応でも人目を惹いた。  そのことに気づいて声を荒らげていたほうの彼は声量を落とす。 「だいたい、あんたとオレがならぶとオレの衣装の安っぽさが際立ってだな……。なんかそこらへんで売ってそうだろ、これ」 「ご名答」 「……は?」 「ずばり、そこらへんで売ってたものだよ。その衣装。不景気でね……あまり高いものは経費で落とさないって言われて」 「サンタクロースが不景気とか口にするなよ! つかガチで既製品か! 特注しろよ!」  人目をはばからず思わず叫んでしまってから、頬をかいた。 「えーと、で、マサオミサンタ長よう。なんの用かは知らんけど、なんでオレなんだ? あんた、マサシゲのじいさんと仲良かったろ、たいていの用事はじいさんひとりで事足りるだろうよ」 「ああ、彼とはたしかに仲がよいね。サンタ長でありながら地上業務をこなすのは彼と僕ぐらいだからさ。しかしあいにく彼は今日、トナカイ無双なんだ」  トナカイ無双とはトナカイ千頭を相手におこなう組み手である。
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