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「化け物か、あのじいさん……」
「なーに、サンタ長とはすでに人間という範囲の一歩ぶんほど、外側にいるものなんだ」
「ふーん……。で、オレに白羽の矢が立ったと。用事はなんだ?」
「今後のサンタのありかたについて語らおうかな、と思ってね」
「それこそマサシゲのじいさんと話せよ」
「彼の家にはしょっちゅうお邪魔するさ。将棋を指すんだけどね、毎回毎回、同じ話をされるんだよ。なんでも、むかしに自分の姿を認めた子供がいるとかなんとか。その少年と話したことを僕にも話すんだ。楽しそうなぶん、無為に打ち切ることもできない」
困ったおじいさんだ、と眉尻を下げた。
「ぼけてんじゃないのか?」
マサオミは苦笑いする。
「それはないね。――すぐれた作品はくり返しの鑑賞にたえうる。シゲシゲは自分の体験がそれほどまでにすぐれているという自負があるんだろう」
「たち悪いな……。あんたのあだ名のセンスも悪いな」
「やだなあトシトシ、そんなこと言わないでくれよ」
「やめろ! はい、さっさとその『今後のサンタのありかたについて』を語ろうぜ」
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