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「大丈夫。ここから場所を移動することはないし、時間もとらせない。それにしても平サンタでありながらサンタ長の僕に一切の敬語をつかわないのは、きみぐらいのもんだよ」 「だめなんだろうけどよ、親戚のちょっとトボけた兄ちゃんぐらいにしか思えないんだよ、あんた」 「光栄だよ」 「光栄……なのか?」 「光栄だとも宇宙大王から木星の開発権をたまわるくらいにね」 「……あんた、ちょっと電波入ってるよな」 「はは、僕たちも電波も似たようなものさ。誰にも見られず、何かを誰かへと届けている――『情報』か『物体』かのちがいこそあれど、喜ばれるのには変わりがない」 「スラングの意味で使ったんだが、そんな返しがくるとはな……反応に困る」 「じゃんじゃん困ればいい。頭はひねるためにあるんだ」 「ふむ……」 「ひねらなければ、数年後、きみは僕のようになる」 「それは……」正直、悪かないと思う。「ごめんだな」  少年は視線の先で、日本人離れした光彩を放つ瞳が瞬くのをみる。 「僕も、きみには僕みたいになってほしくはないね。きみは普通の大人になるんだ。サンタはあくまで副業だよ? きみはいま学生だったね。なら勉強につぐ勉強だ! こんなとこで僕と話している場合ではない!」
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