第3章の続き

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 「予定通りだ。このまま通話状態にする」  「了解」  Tシャツの胸ポケットに携帯を挿した。  いよいよだ。  腰のバールを抜き出して右手に握った。  鋼鉄の扉に左耳を付けた。  地上よりも温度の低い風が吹いていた。  僅かに右耳から、風に乗った遠くのサイレン音が聞こえるだけだった。  所長に金を支払い、示談書を書かせるまでの全てが上手く行ったら――。  洪ら組織の追手から逃げなければならない。  西へ行くべきか、東へ行くべきか――。  そうだ、まず千里の腹の子を堕ろさなくてはならない。  それから、関西より向こうの温泉地を周ってみても良い。  温泉に浸かりながら、その後の人生をゆっくり考えるのも悪くない。
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