第3章の続き

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 扉の死角まで下がって中腰になり、バールを体の真横に構えた。  後ろ姿だが、現れたのが零だということが直ぐに分かった。  奴は左手をポケットに突っ込み、扉を開けたその右手を階段の手すりに向けた。  俺は奴の右膝の辺りを狙い、バールを水平に叩きつけた。  奴は気配を感じ取ったのか、バールが当たる瞬間に振り向こうとする仕草を見せたが間に合わなかった。  確かな手応えが有り、ぐっと言うくぐもった声と同時に、奴の小柄な体がすっと落ちた。  上から2段目辺りで右膝を抱えうずくまる奴の頭目掛け、バールを振り上げた。  こちらを見上げる零と視線が合った。  いや、正確には俺の視線が奴の眼球を捉えただけかも知れない。
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