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夏の昼下がり。
うだるような暑さで目が覚めた。
寝ぼけ眼でクーラーのリモコンを探す。
『ピッ』
無機質なクーラーの音が蒸し風呂のような部屋に響く。
次第に部屋の中がクーラーの冷気で満たされていく。
また今日も無意味な1日が始まった。
『今年でもう10年目か・・・・』
死んだ魚のような目で窓から外を見つめる。
西山カズトは現在25歳。
10年前の中学三年生の夏にこの部屋に引きこもり始めた。
風呂やトイレ等、必要最低限の事以外はとにかく部屋で過ごした。
外出といえば、希に深夜の人が少ない時間を見計らい、近所のコンビニに雑誌や夜食を買いにいく程度。
ひたすら現実から目を背け、気がつけば10年という途方もなく無意味な時間を過ごしてしまった。
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