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暗黒に無数の閃光が走る。
その光景は星々の胎動を連想させるが、そのような神秘的なものではない。
一つは敵を殺しにかかる殺意の光、
一つは命を飛散させいく嘆きの光、
一つは仲間の仇をうとうとする憎悪の光、
ここでは人間の狂気を物理的な光が体現し、憎しみの応酬を繰り返す武器となる。
人間同士で殺し合うことが義務付られた凄惨なコロシアムーーー人類は宇宙にまで戦場を広げていた。
軽巡洋艦ムサイのブリッツから銀髪の女性ーーポカリは思う。
ここは地獄だ。
今すぐここから逃げ出したい。
真空を隔ているガラス越しでも、聞こえるハズのない叫びが、銃声が、イメージとして聞こえくる。
ここにいたら気がおかしくなりそうだ。
頭の中で浮かぶイメージの中には時折私の知っている顔が時折映し出され、命を散らしていく。
その度に、もしかして彼らはもう…という最悪な考えが頭をよぎる。
いや…そんなハズはない。
悪い考えを振り払うように首を振り、パンッと軽く頬を叩く。処女雪のような白い肌がほんのり紅く染まり、幼さが残る妖艶な顔立ちに強い決意が宿る。
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