再会

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. (誰?…その女…) そこまでは声にならなかった。かず?と小さく名前を呼ぶだけで精一杯で。だけど表情には確実に出ていた、と思う。それを汲み取ったように、和臣はもう一度笑う。 「兄貴。紹介するよ」 そう言って和臣が席を立つと、隣の女も少し遅れて席を立つ。まだ顔は見えないけれどオレより身長の低い和臣より、だいぶ背の低い小柄な子。 「会いたいって、こーゆーこと?」 扉付近でただ立ち尽くすオレから、ようやく発っせた言葉は、久しぶりの挨拶でも何でもなくて、ただの皮肉めいた文句だけで。 オレは一体、何を期待していたんだろうか。 .
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