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和臣から電話が掛かってきて、会いたいという言葉を真に受けて浮かれて、仕事まで休んで。こうやって普段あまり寄り付かない実家まで帰って来たというのに。
結果、待っていたのは残酷な現実。
本当は、分かってはいたんだ。和臣は、オレと同じ気持ちで「会いたい」と言ってきてるわけじゃないってこと。どっかで気が付いていて、気付かないふりをして、誤魔化して今日を迎えた。
けど、けどさ。
いきなりコレはないんじゃねぇ?
「そうだよ。じゃなきゃ、わざわざ電話なんかしないよ」
笑いながら追い討ちをかける和臣の言葉に、来なきゃ良かったなんて考えはもう遅くて。
「じゃ。改めて紹介するね、こちらは春ちゃん…、俺の婚約者です」
さらに告げられた言葉は、地獄のようだった
あぁ。やっぱり和臣は悪魔だよ。
オレの、お前への気持ちを知ったうえで、こんな事してんだから…。
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