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私は戸惑いました。
あの方が嫌いというわけでは決してなかったのですが、
将来を約束する人として、何十年もずっと一緒に手を取り合う、とい
うことが、全く想像できなかったのです。
おそらく、私が若かった故の戸惑いなのでしょう。
そもそも、恋だの恋愛というものが皆目分からなかったのです。
若い人というのは決断が早い、無謀だととよく言いますが、無知ゆえ
の恐れというのもまた、年の人より強いのでございます。
当時は電子メールというのがありませんでしたから、手紙にお断りの
内容をしたためて送りました。
一文字一文字間違えないよう丁寧に書きましたが、ただ一言です。
「大変申し訳ありませんが、あなたの想いには答えられないのです」
これだけ。
改めて、当時の私は浅はかでした。
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