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あの時は背筋が凍り付きましたよ。
その写真にはね、私の隣にね、あのお方が立ってたんですから。
それも、青白い顔で、何とも物憂げな顔を浮かべて。
それ以来、この美観地区で私を撮った写真には、全てあの方が悲しそ
うな表情で写り込むのです。
当時の私ははっきり言って嫌でした。
当然の如く恐怖を感じましたし、「あれが倉敷の幽霊女だ」なんて指
を差されたり、挙げ句の果てにはテレビ局の取材までやってきて。
とてもじゃないですがもうこの場所にはいられなくなりました。
幸いそれから間もなくして高校を卒業しましたので、東京へ行くこと
にしたんです。
お恥ずかしいことですが、田舎者ゆえ東京には憧れていたのです。
でも、結局私はバカでした。
もう、阿呆の阿呆。
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