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――ドルフィンダイブの控え室。
アキヒロがドアを開けると、大の字で堂々と熟睡しているマッツー。
「zzz・・・」
「・・・風邪ひくぞ」
そう言いながら適当な所に座り、飲み物のふたを開ける。
「・・・」
ため息をつくアキヒロ。
・・・ツヨヤギと別れる際に感じた、あの"変な感覚"が少し気になる。
「・・・んあ、朝か?」
アキヒロに気付いたのか、マッツーがバカな声で目を覚ました。
「夜だバカ」
「あっそ、おやすみ・・・」
「寝るなバカ」
「了解」
一息ついて、体を起こすマッツー。
「あれ?アッキー、ツヨヤギは?」
「ああ、アイツなら雑誌読んでるよ」
「ふ~ん・・・」
立ち上がり、伸びをする。
「あ、そうそうアッキー」
「なんだ?」
「さっき、クールボーイと関西弁ボーイがここに来たぞ?」
「・・・は?」
「なんか『アキヒロの客だ』っつってたぞ?」
手をアゴの下にあてて考えこむアキヒロ。
自分の記憶の中を探検してみる。
『クールボーイ』と『関西弁ボーイ』・・・。
――見当のつく人物が確かにいる。
その人物はしばらく会ってない2人だ。
「アッキーいなかったから帰ってもらったけど」
「・・・アイツ等、なんの用事だ・・・?」
久しぶりに会う事が何を意味するのか考え込む。
ただ『久しぶりに会うだけに来た』と言うわけではなさそうな2人だからだ。
あの2人とは、『用件』でつながる事が多い。
――突然、アキヒロの携帯が鳴り響いた。
自分達のオリジナル曲の『着うた』だ。
今の時代、音源をある会社に送れば『着うた』をつくってくれる所がある。
着信はメールではなく電話だった。
発信主は・・・。
「誰から?」
「ツヨヤギからだ・・・」
電話に出る。
「もしもし?どした?」
「・・・」
・・・返答がない。
「・・・?ツヨヤギ・・・?」
「・・・」
・・・またしても、返答がない。
・・・アキヒロは眉間にしわをよせる。
「おい、いったい、なん・・・」
「・・・佐久間アキヒロか?」
「・・・!?」
アキヒロの声を割って聞こえてきた電話の向こうの声。
・・・ツヨヤギの声ではない。
中年の男の声だ。
だが、向こうの携帯はツヨヤギのものだ。
「誰だ・・・?」
低いトーンで聞き返す。
「・・・警察だ」
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