31人が本棚に入れています
本棚に追加
――ライブハウスの中は、既に客が去った後であった。
聴衆のいない空間で、壁にもたれて地面に座っているアキヒロ。
聴衆がいない。
誰もいないわけではない。
『聴衆』がいないのだ。
アキヒロを尋ねてやって来た『客』は、今2人いる。
アキヒロと向かい合うように地面に座っている。
「ホンマに、かんにんな~、アッキー。こんな所に突然訪問して」
「・・・」
この2人こそ、
先ほどユキンコが見回した時に目についた『知らない2人』であり、
マッツーが言っていた『アキヒロをたずねて来た[関西弁ボーイ]と[クールボーイ]』だ。
「シロ、クロ・・・2人そろってお出ましとは珍しいじゃねえか」
「いやいや、実はちょっと伝えときたい事があったさかいな」
アキヒロから[シロ]と[クロ]と呼ばれた2人・・・
「アッキーに関係がある事やさかい」
この関西弁の男が[シロ]・・・
本名は白川タケル。
白ジャケットに薄い色のデニムパンツを身にまとい、全体的に白色が目立つ服装だ。
・・・豪天町の二大合併ギャング『ゼブラ』の白のギャングのヘッドで、
アキヒロの中学時代の同級生だ。
「クロ、お前も黙ってんとしゃべれや」
「・・・ああ」
最初のコメントを投稿しよう!