STORY 1

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――ライブハウスの中は、既に客が去った後であった。 聴衆のいない空間で、壁にもたれて地面に座っているアキヒロ。 聴衆がいない。 誰もいないわけではない。 『聴衆』がいないのだ。 アキヒロを尋ねてやって来た『客』は、今2人いる。 アキヒロと向かい合うように地面に座っている。 「ホンマに、かんにんな~、アッキー。こんな所に突然訪問して」 「・・・」 この2人こそ、 先ほどユキンコが見回した時に目についた『知らない2人』であり、 マッツーが言っていた『アキヒロをたずねて来た[関西弁ボーイ]と[クールボーイ]』だ。 「シロ、クロ・・・2人そろってお出ましとは珍しいじゃねえか」 「いやいや、実はちょっと伝えときたい事があったさかいな」 アキヒロから[シロ]と[クロ]と呼ばれた2人・・・ 「アッキーに関係がある事やさかい」 この関西弁の男が[シロ]・・・ 本名は白川タケル。 白ジャケットに薄い色のデニムパンツを身にまとい、全体的に白色が目立つ服装だ。 ・・・豪天町の二大合併ギャング『ゼブラ』の白のギャングのヘッドで、 アキヒロの中学時代の同級生だ。 「クロ、お前も黙ってんとしゃべれや」 「・・・ああ」
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