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――ドルフィンダイブの控え室に到着したツヨヤギは、
予想通りアキヒロとマッツーに飲み物をおごる結果になった。
ツヨヤギの財布の中は寂しくなる一方だ。
リハーサルも無事に終わり、本番まであと2時間。
緊張と言うよりは、楽しみの方が強い。
3人ともそうであった。
「あ、そうそう」
控え室でくつろいでいる3人。
ゲームをしているマッツーと、漫画を読んでるアキヒロ。
そして寝転びながら口を開いたのがツヨヤギだ。
「2人とも知ってる?」
「おう知ってる、集団暴行事件だろ~?物騒だよな~」
「違ぇよマッツー、ギャングだよギャング」
「ギャング~?」
「まぁ『ギャング』なんて大層な呼び方してるけど、ただの不良集団なんだけどね」
漫画とゲームから視線をツヨヤギに移す2人。
「なんか最近、前まで小さかった豪天町のとあるギャング、もとい不良集団、が大きくなって来たって噂だよ」
「ふーん。暴走族とかじゃねえの~?」
「暴走族とはまた違うみたい」
「ふ~ん」
マッツーの興味はここで終わる。
しかしアキヒロはまだ続く。
「黒と白の二大ギャングだろ?」
「え?なんだ知ってるのアッキー?」
再び漫画に視線を戻すアキヒロ。
「ああ。黒と白をトレードマークカラーにしてる不良チームだろ?ヘッドをやってる人間もよく知ってる」
「さすがアッキー、顔が広ければ情報も早いみたいだね」
ツヨヤギがそう言いながら立ち上がった。
「じゃあちょっとコンビニ行ってくるわ」
「あ、じゃあ私マッツーはカラアゲ君でお願いします」
「もうおごらねえよ」
「はい」
マッツーのおちゃらけたノリ。
ツヨヤギが相手でもいつもこんな調子だ。
「ツヨヤギ、俺も行くよ」
「お、アッキー、ノリがいいね」
アキヒロはポケットに携帯と財布が入っているか確認しながら立ち上がった。
―――が。
「そうだ・・・財布ねえんだった・・・」
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