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ライブハウスから出ると、外はすでに暗くなっていた。
「悪いなツヨヤギ、金借りるハメになって」
「いいよ別に。気にすんなって」
軽音楽部では、2人は先輩後輩の関係だったが、
バンドを組んだ時点で2人の壁はすぐに取れた。
「なぁアッキー」
「ん?」
「俺達ってさ・・・いつまでバンドできんだろ?」
ツヨヤギが星空を見上げながらつぶやいた。
「なんで急にそんな事言うんだよ?」
「なんか・・・不安なんだよなぁ~・・・」
「何がだよ?」
「確かに"GEN武"は人気あるバンドだよ。自分で言うのもなんだけど」
「まぁな」
「だけどさ、こう言うの、いつまで続けられるのかって考えるとさ・・・」
それを聞いてアキヒロは少し黙りこんだ。
自分はそんな事を考えた事がなかったからだ。
いや、正確には考えないようにしていたのだ。
「そんな事考えても仕方ねえだろ」
「ん~・・・まぁそうなんだけどね」
苦笑いするツヨヤギ。
心境をまぎらわすためだろう。
そんな会話をしていた2人は、気付けばコンビニへ到着していた。
「お、ウィークリードラムスだ!」
店へ入って早々、ツヨヤギが雑誌のコーナーへ反応し、素早くそこへ向かう。
アキヒロは飲み物のコーナーへゆっくりと足を運ぶ。
「いつまで続けられるか、か・・・」
適当に選んだ飲み物を手にしながら、そうつぶやくアキヒロ。
「確かにそうかもな」
ツヨヤギから借りた小銭をポケットから取り出し、すぐさまカウンターへ向かう。
ツヨヤギはまだ雑誌を立ち読みしている最中だ。
アキヒロは会計を済まし、ツヨヤギの所へ足を運ぶ。
「ツヨヤギ、何も買わねえのか?」
「ん~、ちょっとこれ読むわ。なんなら先に行っててよ」
「そうか・・・」
なぜだろうか。
この瞬間、アキヒロの頭に何か変な感覚が走った。
不安のような、悪夢が起きるような・・・。
「アッキー、どした?」
「ん?ああ、いや・・・なんでもない。じゃあ先行くわ俺」
「OK~」
アキヒロは複雑な表情でコンビニを出た。
自然と足取りが重い。
「・・・ただの気のせいだろ」
自分にそう言い聞かせ、ドルフィンダイブへと向かった。
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