第1章

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「おい、後輩」 「なんでしょう先輩」 「ついに新入部員ゼロじゃねえか」 「ですね…でもまだ明日以降も来る可能性はありますよ!!!気長に待ちましょう」 「そうだな、とりあえず帰ろうか。もうこんな時間だしお腹も空いた、帰りになんか買って帰ろうかな…」 「それだったらうち来ませんか??昨日作った煮込みハンバーグが余ってるんで。明日は休みなんだしいっそパーっと飲みましょうか!!」 「え!!??マジで!?ハンバーグ!?行く行く!!こうしちゃいられない!!早く帰るぞ律!!!煮込みハンバーグが僕らを待っている!!!」 「どんだけハンバーグ好きなんですか…そんなに急がなくてもハンバーグは逃げませんよ」 二人は軽く掃除と整頓をしてから部室を出た。部室の鍵は正門の横にある警備員室に返すことになっているので二人は一旦そちらへ向かい、学校から徒歩五分のところにあるスーパーへと向かった。 「ハンバーグ食べるならやっぱワインがいいな」 「先輩ワインとか飲めましたっけ??」 「飲めない!!だからチューハイで我慢だ!!」 「そんな威張らないでくださいよ、かっこ悪いなぁ…」 お酒売り場でそんなやり取りをしつつ飲みたいものをカゴへと入れていく。 「あとはおつまみ買わないとな」 そう言っておつまみコーナーへ行こうとしたそのとき、聞き慣れた着信音。律の携帯のようだ。 「あ、ごめんなさい。」 そう言って律は携帯電話を片手に翔から少し離れて電話に出た。 しばらくすると申し訳なさそうな顔をして翔の元へ駆け寄ってくる。 「すいません先輩。緊急の用事が出来ちゃったんで、やっぱ今日はハンバーグ無理そうです。」 「なん…だと!!??」 本気でガッカリしたように肩を落とす翔。 「けいちゃんからか??」 「はい、急に会いたくなったから今アパートの前にいるって…」 「そっか、それじゃ僕はお邪魔だな。先に帰れよ、流石に一緒だと色々マズイだろ。僕はもうちょっと買い物してから帰るから」 「なんかごめんなさい、誘っておいて…」 「気にすんなよ。彼氏が彼女に会いたいと思うのは自然なことなんだしさ。それに僕、女の子と二人で宅飲みなんてしちゃったら、何をするかわかったもんじゃ無いからな。逆に助かったよ」
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