第1章

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僕の名前は岸谷玲(きしたにれい)。 突然ですが、猫を拾いました。 正確に言うと猫ミミを付けた男。 行き倒れていたのを発見し、放っておくのも流石に可哀想だと思い、家に連れて帰ったのだが……… 何故拾ったんだ?こんなもの。 とりあえずご飯と水を与える。 「……ありがと」 小さい声で言う男は、黒髪、黒目、黒耳、黒尻尾、黒いVネックという真っ黒な服だった。 顔立ち、スタイル、全てにおいて完璧だった。 「お前、何処から来たの?」 いろいろ気になったから聞いてみる。 「んー、何処だろ。気づいたらここにいた。」 ご飯を食べながら答える。 「名前は?」 「なんか適当につけて」 「適当にって……じゃあ、黒音。」 「うん、気に入った。」 「それでいいのか……」 「いいんじゃない?お前の名前は?」 「玲」 なんか適当っていうかめんどくさそうっていうか…… そんな会話をしているうちに黒音がご飯を食べ終わったらしい。 「風呂、入る?」 黒音は服も身体もボロボロ。 「……!やだ。」 あぁ、猫だったな。 「いや、流石に入っとかなきゃ。行くぞ」 「やだやだ!」 引きずって風呂に連れて行く。 そして無理矢理服を脱がせ、洗濯機にぶち込んで洗濯。 そこでふと黒音の身体が目に入る。 傷跡の残る黒音の身体。筋肉はつきすぎず、なさすぎず。 男の僕から見ても惚れるような身体。 慌てて目を逸らす。 「ほら、入れって。」 背中を押す。 「……じゃあ、玲が入れて?」 にこっと笑って黒音が言う。 僕は一瞬で顔が熱くなる。 「っ!ばか言うな!自分で入れ!」 「じゃあ入んないー」
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