第1章

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「かゆいところはー?」 わしゃわしゃと髪を洗いながら問いかける。結局僕が入れることになっている。 いや、ボロボロなまま家に置いとく訳にはいかないし?拾って来たの僕だから仕方ないっていうか……ダメだ、全部言い訳にしかならない………(泣) 「ないでーす」 「じゃあ流すから目、閉じとけよー」 そう言うと黒音は目をきゅっと閉じる。不覚にもそれを可愛いと思ってしまう僕がいる。 全部流し終えると、黒音が振り返ってするりと首に手を回してくる。 「ちょ、服濡れる!」 「ねぇ、玲ー。一緒に入んない?」 唇がくっつきそうになるくらい顔を近づけてくる。 「わーー!やめろってぇ!」 黒音は離れてから、クスクス笑う。 「冗談だよ、ご主人様。」 「っ!お前は………!もういい!身体ちゃんと洗えよ!」 そう言って風呂場から出て、濡れた服を着替える。 脱衣所を出てリビングのソファに座る。 「なんなんだ、あいつ……」 そう呟いてから恥ずかしくなる。 顔が熱くなるのを感じて、さらに恥ずかしくなる。
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