理想通り

2/15
10人が本棚に入れています
本棚に追加
/25ページ
ちょっと待ってと言えず、私は慌てて隣を歩く。 ヨシトモはまるで2人でいる事を見られたくないかのよう、早歩きだ。 私はこの日の為のヒールの靴では辛くて、着いて行くのがやっとだった。 やっぱり彼女がいるんだ・・・。  私の脳裏によぎる不安。  悲しみ。 これから起こる楽しさを打ち消す事ばかりが頭の中を覆う。  ヨシトモが足を止めたのは、駅から少し歩いた所で、飲食店がひしめく所だった。 私はやっと止まったと安堵するとともに期待も高まる。 「ここのパスタね、一度食べたら忘れられないから」  そういうとさっさと入るヨシトモ。  私も慌てて入る。  店内は少し薄暗く、明らかに雰囲気は大人のものだった。  店員が私達をテーブルへと案内すると、そこは個室風で、私は緊張した。 「落ち着くだろ? ワインの品ぞろえもいいんだ」
/25ページ

最初のコメントを投稿しよう!