校門にて。

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多分、あの娘の事だろうから、泣きながら、トイレで苦しんでいたんだと思う。 選考会が終わって、大阪に帰って私と会った時、物凄くやつれていて、憔悴しきっていたから。 会った瞬間、私に倒れかかるようにして、私に抱きついてきた。 その時、優奈は泣きながらこう言ったの。 「れんふぁ~、ゴメンね。本当にゴメンね・・・・私、みんなの期待、裏切っちゃった。本当にゴメンね・・・」 か細い声で、何回も、何回も私に謝ってた。 やっぱり体調が悪く、帰る途中で、何回か吐いていたらしく、吐く息が鼻をつくような臭いがしてたけど、私は優奈を優しく抱きしめてあげた。 私は優奈にこう言ってあげた。 「優奈、あんた、よく頑張ったって。他のみんながあんたの事悪く言っても、私が絶対に絶対、かばってあげるからっ!安心して休みなよ」 あやしながら、優奈に優しくしてあげた。 優奈は私の顔を見て、クシャクシャのボロボロの泣き顔になって、私の胸の中で泣き崩れたっけ。 ただ。 私の制服で、鼻をかむのはやめてほしかったけど・・・・。 小突きそうになったけど、その後、笑ってくれたから、いいとした。 そして、この後。 優奈が代表選手に選ばれなかった事を書いた新聞や週刊紙の記事が、続々と発行されて、当然の如く、優奈の心を傷つけた。 中には、優奈がトイレで苦しんでいた事を書いた記事まであった。 特に私が激怒したのは、優奈が生理痛と下痢でオリンピック代表を逃したって書いたスポーツ新聞だった! そのスポーツ新聞は、下品な物言いな書き方をしており、私はその新聞を手にした途端、破り捨ててしまった。 当たり前よっ! 体調不良とか、熱があったとかだったら、まあ、わかるけど、よりにもよって女性の身体的な事を男性の読者によろこびそうな書き方で書いてるんだからっ! 優奈のやつ、この記事が原因で、男子生徒にからかわれる事になって、物凄く傷ついたみたい。 私、そのからかわれた現場にいて、そのからかった男子生徒を、思いっきりひっぱたいてやった。 そして、その男子生徒の胸ぐら掴んでもう一回、平手打ちかましてやろうかと思った時、優奈に止められた。そして、 「れんふぁ、暴力はダメっ!私は怒ってないから、もうやめようよっ」 悲しそうな声で、私を必死になって優奈は止めた。 私も、優奈のいうとおり、怒るのをやめた。 そして、こう思った。 このバカっ!あんた優しすぎよっ!
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