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あんなセクハラ男っ!二、三回ひっぱたいても、かまやしないわよ!
こんなやつに優奈の優しさ、恵んであげなくてもいいんだからねっ!
選考会の前は優奈の事みんなちやほやしてほめてたくせにっ!
オリンピック代表に落ちたら手のひら返してみんなでこきおろしてっ!
自分勝手にも程があるわよっ!
それにこの優奈をからかった男。
陰で隠れて、優奈の部活でのレオタード姿隠し撮りした男だ。
その写真、雑誌に投稿して優奈を傷つけた最低男だっ!!
優奈、この時、陰で傷ついて泣いてたんだからねっ!
一度、取っ捕まえてカメラ取り上げて先生につきだしてやった男だ。
性懲りもなく優奈にちょっかい出して、許せないにも程があるわよっ!
それに、優奈。
大阪に帰ってきた、その明くる日に高熱出して入院したんだからっ!
肺炎の一歩手前までいって本当に危なかったし。
私とファム姉、毎年初詣にお参りしている若江鏡神社に行って毎日優奈が回復しますようにって、お願いした。
あの娘、あの事でどれだけ苦しんだと思ってるのよっ!
私、優奈がこの男を許すから、仕方なく優奈の手をひいて帰ろうとしたとき。
「たくっ!何が妖精さんだよっ!生理で尻血だらけにしながら(実際はなってないっ!)代表ダメになったくせに。レオタード着てる姿写真で撮られるのがイヤだったら体操なんかやめちまえよなっ!」
信じられない、セリフを吐き捨てるように優奈に浴びせた。
『私、日本の妖精さんって呼ばれるように、頑張って代表選手に選ばれるように努力しますねっ!』
優奈は、こう、選考会に出る前のインタビューで言った。
嬉しそうだった。
『妖精さんみたいに頑張って演技するねっ!れんふぁも見ててっ!』
優奈、子供の頃からの口ぐせだった。
私は、振り向いて優奈を見た。
顔面蒼白になっていた。
そして、震えながら、目から涙をこぼしながら、泣きそうになっていた。
私は、この時、頭の中が真っ白になっていた。
そして、昔の記憶がよみがえった。
私は、レオタードが着るの嫌だった。
今は普通に着て演技してるけどね。
子供の頃、体操クラブに入った頃は、どうしても嫌だった。
私、体操は別に好きじゃなかったのよね。
ただひとつ。
ファム姉を慕ってクラブに入った訳。
だから、レオタード着て演技するのは嫌だった。
なんか、見せ物みたいで恥ずかしかったんだもん。
だけど、運命の時はとうとうやってきた。
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