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私はそれ以上の詮索をしなかった。
怪しまれたら最後だ。
私達は帰り道、手も繋ぐ事もなく、人ごみをすり抜け、なんとなくさよならをした。
次に会う時は、私の妊娠が分かった時だなと、ヨシトモの背を見つめながら思った。
私は子宝に恵まれそうな事ならなんでもしてみるか、とウキウキと帰りの電車に揺られた。
その後ヨシトモとはやはり会えなかった。
会いたいと伝えても、セックスを要求されるだけ。
あの、その他大勢の中の女の一人と同じ扱いだった。
それは私のプライドが許さなかった。
もう特別な存在になりつつあるのに、そんな扱いを受けるのはごめんだ。
だから結局チャットで少し会話をして、終わる。
ヨシトモの事も訊けず、何も知る事もなく、私は生理予定日を迎えた。
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