流転3

29/102

4023人が本棚に入れています
本棚に追加
/755ページ
「き、君ねぇ…  キャタピラの戦車でドリフトって。  下が土で、車体が重いからグリップしたけど…  公道だったら大クラッシュだからね。  車とは扱い方が違うんだ。  余り無茶しないようにね」 はい、お叱り受けましたぁっ! 「キャル!  この、だぁほがっ!」 キャリヌ曹長の一喝! いやぁ~ 雷が落ちるって言い方があるが… 納得。 まさに、轟音。 雷が落ちた如しである。 「リュシュはツアー客。  公道など走ることなど無いわっ!  寧ろ、リュシュの思いっ切りの良さを見習わんかっ!」 うえっへっ! デカい声で、おっかねぇ。 爺ちゃんに匹敵だな、こりゃ。 でも、急にトーンが下がって… 「キャルよ。  確かに、沈着冷静で確実。  これは必要な事だ。  おまえには、それがある。  その点は認めておる。  だがな、キャルよ。  儂ら兵士は、それだけではダメなのだ。  思いっ切りの良さにて判断を行う…  刹那、刹那で判断を要する場合が多々ある。  躊躇い、一瞬の躊躇が命とり。  それが、戦場。  この坊主は、一見熱くなり無茶をしとるように見える。  じゃが、素早く路面の状態、道の先を画面を切り替え確認しておったわい。  冷静かつ大胆。  キャルよ。  おぬしこそ、この小僧を見習い盗め。  良いな」 孫を諭す様に告げる、曹長。 益々、爺ちゃんみてぇ。 こりゃあ、波長が合う筈だわっ! 「さて、リュシュよ」 「はいっ!」 なんだろね? 「これから、砲撃をして貰おうと思ったのじゃが…」 曹長の歯切れが悪い。 変だな? 「此処で何があったのだ?  的になる残骸が溢れておったのだが…  なんで綺麗に更地なのだ?  まるで清掃した後のようなのだが…」 困惑顔の曹長さま。 あっ! それ… 「すんません」 「んっ?」 「それ…  俺のせいっす」 仕方無しに、先程の話をする俺。 本当に、すんまそん。 テへっ☆
/755ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4023人が本棚に入れています
本棚に追加