流転3

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しかし… 模擬弾ったよなぁ… おかしい。 俺が知る戦車の砲弾は、龍力を放つ形式の筈。 これで模擬戦は出来ない筈だ。 俺が不思議そうにしているのに気付いた曹長。 俺へ尋ねる。 「リュシュ。  どうした?  何か分からん事でもあるのか?」 気付いてフォローかぁ… 優しいやね。 「ええ。  模擬弾ってのがですね」 俺が告げると曹長が、悟ったように告げる。 「リュシュよ。  おぬしは、戦車の砲弾は全て龍結晶カートリッジと思っておるのであろう?」 えっ、違うの? 思わず頷く、俺。 「それは違うのぅ」 ……… そうなんだぁ… 他には、何があるんだろね。 「戦車の砲弾は2種類が採用されておるのぅ。  1つは、おぬしも知っておる、龍結晶カートリッジじゃ。  此方は、砲弾へ込められた龍結晶の龍力を全て射出する砲弾じゃな。  威力が高く、射程距離も長いのが特徴じゃ」 そうだろね。 俺も知ってる位に有名だし。 けど、加減した射出なんて、出来なかった筈だけど… 「そして、もう一方は、龍力圧を利用した、実弾を発射するタイプじゃな。  現在の主力は、此方だて」 はぁ? 訳が分からん? 「それって、おかしくないっすか?  龍結晶カートリッジの砲弾より、威力も飛距離も、格段に劣りますよね」 絶対にへんだよな。 「リュシュよ。  戦争と言うヤツはじゃ、金が掛かるものでのぅ」 「はぁ…」 何が言いたい… あっ! 「ふむ、気付いたようじゃのぅ。  龍結晶は、非常に値段が高いのじゃ。  そんな高価な弾を、バンバン撃たれたら堪らんわい。  故に、戦局を左右するような場面のみに使用じゃな」 成る程な。 人用の銃ならば、小型の龍結晶カートリッジで数万発は撃てるだろう。 だが、戦車砲の砲弾、龍結晶砲弾カートリッジ。 此方は、一度に全ての龍力を龍結晶より放出。 高価な龍結晶が、一瞬でオシャカとなる訳で… そら、龍力圧弾の方が主流になる訳やね。
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