流転3

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俺も腹が満たされ、落ち着いて来た。 なので、話も出来ると判断したんだろうな。 爺さんが、話題を振って来た。 「青年よ。  おぬしは、学生であったか?」 「ええ、そうですけど…」 なんだろね? 「して、卒業後の身の振り方は、決めておるのかのぅ?」 また、嫌な話題を… 「いえ。  それは、まだですね。  ですが、私は2年生でして…  就職などは、まだ考えてないんですよねぇ」 これは、真っ赤なウソ! 今の段階で就職活動しても、かなり厳しい状態だ。 いや、どの段階でやってもだがな。 だってさぁ… 雇用先が、ドンドンと減って来てるもん。 現在のシュパング学生のトレンド… シュパング諦めて、海外へ行こう。 で、ある。 だってさぁ、シュパングじゃぁ就職できねぇもん。 近隣諸国へ、シュパング人が散っている状態。 高等教育を、大学まで義務で受けるシュパング人。 しかも国民柄か、真面目で手を抜かない。 そうなると… 海外での就職先は引く手数多ってね。 通勤は転移装置で楽々と行える。 だが… 国に帰って来ない者達もチラホラ。 人口減少が始まっているってよ。 実は俺の旅行も、就活の1つだったりする。 碧海周辺国は、粗方知っている。 なら、別の国は? って、訳。 此処に来たのは、母さんから薦められてだ。 デザイナーのパートとして働いている、母さん。 此方のデザイナーが出すデザインが素晴らしいと絶賛。 あれ程のデザイナーを輩出する国なら、一度は行ってみたら? ってな。 ただ… お土産に、有名所の現地限定チョコを頼まれたなぁ~ ……… ……… ……… あれ? まさか… チョコレートが目的だったとか… まさかな… ハハッ。 違うよね。
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