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俺は兵士で無いため、階級章に無頓着だった訳で…
階級章にカバーが付いている事にさえ、気付いていなかった。
逆に、大佐とお姉さまが、ギョッとしているな。
「ちょっとリュシュ君、階級章のカバーを外すわよ」
そう告げて、お姉さまが階級章のカバーを外してくれる。
露わになった階級章。
俺には区別が出来んが…
「なんて事…」
大佐、絶句。
「本当に、上級曹長の階級章だわ!」
お姉さまが、驚きの声。
俺は、ポケットに合った階級章をテーブルへ。
五等兵、四等兵、三等兵。
これは、ツアー用の階級章。
二等兵、一等兵、上等兵、兵長。
所謂、兵と分類される階級章。
伍長、軍曹、曹長、上級曹長。
下士官だな。
っう事は、下士官扱いかぁ~
ツアー用の架空階級だとしても、豪儀だねぇ。
「閣下!
なんて事をなさるんですかっ!」
なんか、大佐が怒ってる?
なんぞっ!
「そうですわっ!
ツアー用とは言え、任官した場合は実階級扱いですわっ!
ツアー客へ、なんて事をっ!」
慌てて告げる、お姉さま。
って…
へっ?
今、変な事…言わんかったか?
俺は、ギギギギィ~っと首を動かし、お姉さまを見る。
「あのぉ~
お姉さま。
この階級って…
ツアー用の架空階級ですよね?」
そうですよね。
そうに違いない。
そうと言ってよ、お姉さま。
「リュシュ君。
残念だけど…
それ、本物だから…ねっ☆」
輝かんばかりの笑顔で、トドメを下さる、お姉さま。
「ノォォォっ!」
俺、軍人として、軍歴が付いちゃいました。
2日目に軍曹が言ってたんだ。
ツアー客に軍歴が付かないように、架空階級へ任官させるんだってな。
そうしないとツアー終了後にも、俺の経歴に残るらしい。
だが爺さんが宣う。
「士官学校を卒業したら少尉ぞ。
問題あるまいて。
ああ、ツアー終了時は准尉じゃての。
さて、午後の会議に間に合わんくなるでな。
儂は、此処でな」
言い逃げかっ!
士官学校、前提かいっ!
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