流転3

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俺は兵士で無いため、階級章に無頓着だった訳で… 階級章にカバーが付いている事にさえ、気付いていなかった。 逆に、大佐とお姉さまが、ギョッとしているな。 「ちょっとリュシュ君、階級章のカバーを外すわよ」 そう告げて、お姉さまが階級章のカバーを外してくれる。 露わになった階級章。 俺には区別が出来んが… 「なんて事…」 大佐、絶句。 「本当に、上級曹長の階級章だわ!」 お姉さまが、驚きの声。 俺は、ポケットに合った階級章をテーブルへ。 五等兵、四等兵、三等兵。 これは、ツアー用の階級章。 二等兵、一等兵、上等兵、兵長。 所謂、兵と分類される階級章。 伍長、軍曹、曹長、上級曹長。 下士官だな。 っう事は、下士官扱いかぁ~ ツアー用の架空階級だとしても、豪儀だねぇ。 「閣下!  なんて事をなさるんですかっ!」 なんか、大佐が怒ってる? なんぞっ! 「そうですわっ!  ツアー用とは言え、任官した場合は実階級扱いですわっ!  ツアー客へ、なんて事をっ!」 慌てて告げる、お姉さま。 って… へっ? 今、変な事…言わんかったか? 俺は、ギギギギィ~っと首を動かし、お姉さまを見る。 「あのぉ~  お姉さま。  この階級って…  ツアー用の架空階級ですよね?」 そうですよね。 そうに違いない。 そうと言ってよ、お姉さま。 「リュシュ君。  残念だけど…  それ、本物だから…ねっ☆」 輝かんばかりの笑顔で、トドメを下さる、お姉さま。 「ノォォォっ!」 俺、軍人として、軍歴が付いちゃいました。 2日目に軍曹が言ってたんだ。 ツアー客に軍歴が付かないように、架空階級へ任官させるんだってな。 そうしないとツアー終了後にも、俺の経歴に残るらしい。 だが爺さんが宣う。 「士官学校を卒業したら少尉ぞ。  問題あるまいて。  ああ、ツアー終了時は准尉じゃての。  さて、午後の会議に間に合わんくなるでな。  儂は、此処でな」 言い逃げかっ! 士官学校、前提かいっ!
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