流転3

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「やはり、途轍もないヤツなんだなぁ、おまえさんは」 呆れられてばかりだな、俺。 「いやぁ~  たいした事は…」 「今朝、死に掛けたんだが、俺」 遮って苦情ですか… ごもっともです。 「それよりもですね、早く行きません?」 えっ、誤魔化した? 何そ… 「誤魔化したか…」 言っちゃらめぇぇぇっ! 「コレがイグニッションっすか?」 それらしきボタンを指差す。 「そう言えば…  文字は読めないんだったな。  ああ、それで間違い無い。  上昇、下降、旋回は、ハンドルにて行う。  速度調整は、足元のペダルだ。  右がアクセル、左がブレーキだな。  離着陸だけならば、ハンドルだけで可能。  まずは、離着陸を行ってみろ」 そんなん言います。 なんかさぁ… 車の運転に似てね? って… ブレーキって??? 「その前に、質問良いっすか?」 思わずね。 「んっ?  なんだ?  言ってみろ」 「了解。  まずは、ブレーキなんすが…  空中で、どうやってブレーキングすんすか?」 俺が尋ねると… 呆れられた。 なじぇ~ 「リュシュ。  おまえはリジェクターの推力は何だと思っている?」 んっ? 推力って? 「飛空石っすよね?」 「違う!  それは浮力に過ぎん!  推力は龍力にて操った風だ。  順風、逆風、上下左右の風。  これらを発生させ、推力を得ている。  姿勢制御やブレーキも同様。  つまり、龍結晶が積まれており、それをしょうした龍力コントロールにて飛行。  これが飛空艇が飛空する仕組みだ。  理解したか?」 成る程ねぇ… だから、衝撃波に吹き飛ばされた時に苦労してたんだねぇ。 飛空石で落下は無くても、姿勢制御が風じゃ、苦労するわな。 「分かりました。  後…上昇って、ハンドルを手前に引けば良いっすか?」 「おおっと!  当たり前の事過ぎて、説明が遅れた。  すまんな。  上昇は手前へハンドルを引き、下降は前方へ押せ。  それで、できる」 「了解っす!  では、離陸しやぁ~す」 俺は手前にレバーを引く。 飛空石が稼働。 スルスルと上昇するのだった。
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