流転3

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普通のフライトなら、問題ないだろうさ。 けど… 悲しいけど、戦闘艇なのよね、コレ。 戦闘飛行中、無茶なブン回しなんてぇのは、ザラにあるだろう。 今日、シンさんは俺の真似をして飛行した。 だけど、この機体では、絶対にやらないだろうさ。 性能の為に強度を犠牲にしたとか? なら… 開発者は、阿呆だ、阿呆。 こんな脆い戦闘艇、誰が乗るんやねんなっ! 素人が、お遊戯で乗るなら… ああ、俺…素人か… しかも、お遊戯。 な~る。 最適やん。 俺が無茶、チョピット、チョビットだけ…無茶しただけだけどな。 「成る程、それが君の見解かね?」 はい? どなた? 「ああ、ドクトル。  これは、ツアー客が告げた事でですね」 班長が、驚いて告げる。 「君は黙ってなさい。  彼はシュパングの大学生。  しかも、工学部らしい。  操縦の腕も、あのシン・カザマ中尉と引き分ける腕とか…  君に、それだけの知識と腕があるのかね?」 !? 俺の、個人情報ぉぉぉっ! 「何処から、工学部って!」 慌てる、俺。 「何を慌てているのかは、知らぬが…  嵩鮮教授は友人でね。  龍秀・矢鷹と言う学生が訪ねたら、よろしくとな」 ああ、この人が… 「アナタが、ソルボンヌ大学のミルター教授ですか。  シュランプに着いたら、一度訪ねる様、嵩鮮教授から言われてましたが…  この機は教授が?」 まさかね。 「基本構造とエンジンについては、多少な。  だが、私のメインプロジェクトは此方では無い。  しかしだ。  完成したと聞いては、放っておく訳にも行くまいて」 そう告げる、ミルター教授。 ま、嵩鮮教授の友人つう位だ。 出来る人なんだろうな。 「ふむ。  落第ものだな、コレは。  何を造らせておるのやら」 呆れてる。 「しかし、流石は嵩鮮教授の学徒だけある。  この指摘箇所を適切に補強し、エンジンの出力を抑えれば、有用な働きをするであろうな。  まぁ私は、ジョルド開発がメイン。  飛空艇になどには、興味無いがな」 ああ、ジョルドが専門なのね。
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