流転3

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「聞く所によると、君はジョルドのテストパイロット候補だとか。  君が来るなら、嵩鮮教授を誘い易い。  ジョンソンを出し抜けると言う訳だ」 そう告げて、ニヤリ。 俺がテストパイロットてぇのは確定ですか、そうですか? 「いや、テストパイロットをやるって、決めた訳では…」 俺は、困り顔で告げる。 「何故だね?  軍からの固定給とは別に、大学からも給料が支払われる。  成果によっては、ボーナスや特別手当ても有り得よう。  シュランプからも危険手当てが支給されるであろうな。  こちらも、ボーナスが有りだ。  この様な待遇は、滅多に無いと思われるのだが?」 うわぁ… 一瞬、くらっと来たよ。 けど…な。 「両親や恩師とも相談せずには決められませんので…」 勝手には…な。 「そうかね。  そうそう。  君ならば、開発スタッフにも加われよう。  なにせ、あの嵩鮮教授が高く評価する程の人材。  そうなれば、開発スタッフとしての俸給も支払われるぞ」 お、押すね、この人… 「ま、まぁ…  考えておきますよ」 困った人だなぁ。 「うむ、是非、そうしてくれたまえ。  君が来てくれれば、嵩鮮教授を勧誘し易い。  教授が来てくれるなら、君への特別手当ても出そうではないか」 どんだけ、嵩鮮教授を喚びたいねんなっ! 「なにせ、嵩鮮教授を狙っている国は多い。  コメクナのハワード大学教授ジョンソンを筆頭にじゃ。  その面々へ嵩鮮が要求したのが…  優秀なテストパイロットでな…  これが、なかなかに難しい。  だが…  明かしては貰え無かったが…  嵩鮮教授の大学には素晴らしい協力者が居るらしいのだ。  その者が知れたら、先にスカウトするのだが…  そう言えば…  君は嵩鮮の学徒か…  誰か心当たりなどいないかね!  紹介してくれたら、仲介料を支払おうではないか!」 急に興奮せんで下さいやっ! まさか、それが俺とは言えんよな。 言ったら面倒な事になりそうだ。 黙ってよぉ~っと。
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