流転3

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「か、金ぇっすかぁっ!?」 思わず言うと… 頷く、シンさん。 え~っとぉ… 滞在日数は決めて… あれ? 此方へ留学ったか? 旅費っうか… 滞在費は? 俺は、慌てて財布を確認。 財布と相談していると、シンさんが俺へ。 「なぁ、リュシュ」 「なんでっしゃろ?」 生返事は仕方ねぇだろ。 だってよぉ~ お財布様へご相談を掛けてる最中だぜ。 必死ってな。 「おまえ…  勲章と一緒に、副賞貰ってなかったか?」 あ"あ"っ? 副賞? んっ? そう言えば… 貰ったな。 教授からも封筒を受け取ったような… 俺はジャケットのポケットから、副賞を取り出す。 中身を確認すると… それぞれ、10万ディナール以上。 つまり…シュパング鋳(しゅ)で、百万鋳以上となる訳で… マジ…で? あの爺さん達… 何、考えとんの? 支度金は別に出すとか、のたまってなかったか、爺さん共。 俺さぁ、学生な訳よ。 学生に、こんな大金を渡したらダメだろうよ。 全くさ。 ……… ……… ……… チラっと封筒の中身を…な。 爺さん…達さぁ。 チラッ。 本当にさぁ。 チラッ、チラッ。 こんな事してさぁ~ぁっ。 チラッ、チラッのチラッ。 しょうがないなぁ…もう。 ……… ……… ……… 興奮してぇっ、参り、まし、たぁぁぁっ! ではぁっ、皆様、ご唱和をっ!! あっ! お大尽!! お大尽たら、お大尽! 「シンさん!」 「お、おぅ…  どうした?」 「今日は俺の奢り、いや、店を貸し切り…」 バンッ! っ!! シンさんが、いきなりテーブルを叩いて立ち上がる! 何事っ!? その儘、俺の前に… な、なに? なんで、俺の胸ぐら掴むの? なんで? 「図に乗るなよ、小僧」 えっ? 俺…なんか…した? 「いや、奢りって…」 シンさん、俺の頭に手をポンと乗せて、髪をクシャリ。 「リュシュ。  おまえの年で、そんな金の使い方を覚えてどうする?  驕るんじゃない。  大体おまえ、分かってんのか?」 「何がっすか?」 怖いよ…シンさん… 「爺さん達の手の平で踊らされた事にだよ」 はぁ?
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