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「で、シンさん」
「んっ?」
「そろそろ。
何を注文するつもりなのか、教えて欲しいなぁ~っと」
ほ~んと、なんだろね?
あの沈着冷静なシンさんが、此処まで興奮する料理ってさぁ。
「ああ、それはな…」
「これでぇい!」
シンさん告げる前に、コックおやじ。
取り出しましたるは、海老と蟹。
っか…
なぁ~んだぁ。
海老と蟹じゃん。
俺、ガッカリ、ガッカリ、ガッカリよ。
「こりゃ、デカいなっ!」
シンさんが驚く。
?
そんなに、デカいか?
「喜べ、リュシュ!
この国キっての珍味、ゾワイト蟹とガイヌ海老だっ!
コイツらは、シュヌ湖にしか生息していない蟹と海老でな。
しかも、産卵期直前が一番美味いと言われているんだ。
だが、産卵期前の捕獲には、制限が掛かってな。
市場へ出回る量は限られるって訳だ。
此処のおやじさんはなぁ、シュヌ湖の漁師に知り合いがいるんだ。
なので、特別に回して貰えるってな。
しかし、時期モノだ。
何時も入荷する訳ではないんだ。
地元の者でも、お目に掛かるのは珍しいんだからなっ!」
シンさんが、此処まで入れ込むなんて…
俺、興味津々です。
そして…
まずは、ガイヌ海老。
ロブスターの様に、大きな鋏。
腹には、育ちきって無い、小さな卵がビッチリ。
まずは、卵をスプーンで掬って食べる。
これが、ネットリ濃厚な味でさぁ…
至福れす。
身も最高だったけどさ、ミソがまたねぇ。
ゾワイト蟹の方の卵とミソが絶品!
身の方も美味いが…
ポン酢じゃなくて、マヨネーズソースなんだよね、これがさぁ。
まぁ、これも旨かったよ。
けど、ポン酢でサッパリとも、食いたかったかな。
蟹を4杯、海老を4匹、頂いてしまいましたよ。
シンさんが絶賛するだけあるね、これ。
ただね…
「これで、来年まではお預けだな」
そんなことをね。
「なんで?」
「この店の決まりでな。
一回でも食べたら、その年は無しってな。
他の者が食べられなくなるからな」
あれっ?
でも、俺達…
沢山食べたよね?
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